10代はSNSが4割|情報収集とPR手段が激変する化粧品業界

特に若い世代における化粧品に関する情報収集の方法と、彼女たちが信頼する情報源がこの数年で大きく変わりました。と、同時に、その流れに合わせてマーケティング手法を変化させていく企業と、今までの広告手段から抜けられず、時代の変化に乗り遅れる企業に分かれてきているようです。

日本や中国、アメリカなどで一般化したマーケティング手法は、数年後に必ず東南アジアに広がっていきます。ここで紹介する、国内の化粧品マーケットにおける変化は、近いうちに必ずや世界各国で起こる流れとなるでしょう。


「10代はSNSが4割 化粧品消費へのSNSの影響度は拡大」

“化粧品を購入する際の情報収集に使う媒体が、10代ではSNSが約4割で最も多い”

2017/11/1 日経新聞

30代以降になると店頭での広告もまだ比較的影響は大きいようですが、ネットで購入する世代は、情報収集の段階からネット、特にSNS経由での情報に大きく影響を受けているようです。

比較対象として、若い女性の消費の中心であるファッション。ファッションに関しては情報収集というより、街中で見かけた”感覚”を重要視する事が多いようです。逆に、化粧品は使った感想や評価を”情報”として収集しに行くというアクションがあるようです。


「そもそもSNSで化粧品に関する情報をどう得るのか?」

「SNSで情報収集」。この行動にあまり馴染みのない方もいると思います。その方法は大きく分けて2つ。

受動的なものだとフォローしてる芸能人のインスタや、繋がってる友達のいいねやコメント、イベントへの参加を目にする事で、そのブランドへの認知が生まれます。

能動的な情報収集としては、ハッシュタグで自らブランド名を検索したり、facebookやtwitterで特定の商品名で検索してその商品に関して他の人がどう評価してるかを調べたりします。

マーケティングの基礎である認知や、興味関心、アクション等、目的に合わせてどんなフォーマットで消費者の目に届けるかが重要です。受動的なものと、能動的なものがある、という認識を持ってSNSを見る事で色々な企業のマーケティングが見えてくると思います。


「メーカー目線<<<リアルな消費者の意見」

東京の江東区にある天真堂様のPR手法が紹介されました。

「動画」×「インスタ」×「インフルエンサー」

まさに今マーケティング手法の中心にある三大要素を組み込んだ化粧品PRです。具体的にどんな動画で、どんな効果があって、というのは記事を読んでいただきたいのですが、大事なのはなぜこれをやったのか。

2017/11/29 日経新聞

若い世代はメーカー目線ではなくリアルな消費者の意見を購入の参考にする傾向が強まった」と同メーカーの担当者様は話されています。まさに、先ほどの書いた内容の通りです。メーカーが発するメッセージから匂う”広告感”を感じ取った瞬間、若い世代は情報のシャットアウトしてしまいます。そこで。活用されるのが口コミや消費者の意見を前面に出したPRとなります。

では、リアルな消費者の意見ってそもそもどうやってキャッチするの?

消費者の意見というのは存在しているようで、実は待っててはいっこうに集まりません。リアルな消費者の意見をメーカー自ら発生させる事を仕掛けていかなければいけません。そしてその意見を収集し、発信し、PRに活用する、今はもうその動きが必要な時代です。


「大手百貨店が化粧品のネット販売を本格的に開始」

“近鉄百貨店は化粧品のインターネット販売を本格的に始める。2018年春までに商品数を従来の150品から2100品に増やす”

2017/11/22 日経新聞

個人的には「今さら」という感覚があります。百貨店というのはメーカー様、卸業者様、様々な関係者が築いてきた長い歴史のもとに存在する商売と私は考えます。それが故に、インターネットや目まぐるしく変化するマーケティングにフィットしていくのが難しいのでしょう。

そんな百貨店でさえ、大規模な投資の上、ネットでの販売を開始する程、もう消費者の中心が完全に店舗からネットにシフトしているのです。

今後、この百貨店としての化粧品販売も、ただただ陳列しておくだけのサイトではなかなか売れないでしょう。いかに今の消費者が欲しがる情報を適切な場所とタイミングで出せるか、これに全てかかってくる気がしています。


「資生堂最終赤字169億円 ECに乗り遅れ直営店の半分近くが不採算」

日本を代表する化粧品メーカー、資生堂の2017年1月~9月の連結決済が169億円の赤字というニュースがありました。これは資生堂の本業が赤字、というのではなく、アメリカの子会社の減損を計上した事が理由です。

ただ、注目はその子会社がなぜそんなに赤字を抱えていたかという点。

2017/11/10 日経新聞

ECに乗り遅れ、173ある直営店の半分近くが不採算となっていた。

いわゆる、リアル店舗で化粧品が売れないんです!って話です。実店舗は人件費と家賃がかかる上、ネットに慣れてる人からすると、販売員さんとコミュニケーションを取らなければならない所にわざわざ行く理由がないのです。今の時代、実店舗というのは収益だけを目的に運営するものではないのかもしれません。

記事の中でさらに、「100店舗規模で閉鎖し、今後はSNSを活用したマーケティングに軸足を移し、10代~30代の顧客獲得を目指す」とあります。資生堂としても「消費者がいる場所がひと昔前と大きく変わってきている」と実感しているのでしょう。


「本当に良い製品が、良い評判と共に広がっていく世の中に」

色々とマーケティング手法は変化してきていますが、これは化粧品業界のみならず、様々な業界にとって必ずや良い方向に進むはずです。

SNSや口コミによる情報が中心になっていく事で、今まで広告予算とブランディングの上手い企業の商品が独占してきた時代から、本当に良い、そして本当に自分に合ったものが売れていく時代に変化していく事でしょう。

そして、既にSNSや口コミが日本よりも影響度は大きいアジア各国では、この流れはより強く企業のマーケティングに影響してきます。

本当に良い製品であれば国や言語の壁を越えて人の手に渡っていく。そんな時代がついに来たのかもしれません。