販売申請は必要?化粧品の海外販売「越境EC」と「輸出販売」の違い

日本製自社製品を海外市場へ展開を検討する際、最もリスクが低く、早期に着手しやすい販売チャンネルとして挙げられるのが「越境EC」での販売です。

その越境ECを使った販売実例の代表格ともいえるのが中国EC市場で、その市場規模は2017年時点で約13兆円と巨大なマーケットになっています。しかしこの大規模な数字の反面、中国T-mall, JDなどに出店をしたものの、思いのほか苦戦を強いられている国内企業様が多く見受けられます。

その背景には、化粧品とは「使用してみないと効果がわかりづらい」特性を持つ商品であることから、ECサイトに掲載した画像や商品説明文だけの情報では、消費者が購買に踏み切るまでに至りにくいケースとなる為でしょう。化粧品は化粧品に特化した方法にて海外での展開を考える必要があります。それは正規に商品を輸出し、現地の化粧品店販チャンネルなどにて販売展開をしていく方法です。

そこで今回は「越境EC」と「正規輸出販売」の違いを説明していきます。


1. 越境ECは個人輸入。国境を越えて「日本で売られている商品」を購入。

「越境EC」はご存じのように、海外のユーザー様が日本の商品情報をECサイト内で入手し、オンライン上で発注手続きをし、日本→海外一般ユーザー宛ての直送方式となります。

この方式は、海外のユーザー様が日本製品を「個人輸入」する前提となります。商品の売り手は煩雑な輸出入手続きるすることなく、商品は海を渡り、ユーザーの手元に直接届きます。一方、日本の化粧品に元々興味のあった海外のユーザー様(買い手)にとっても、手軽に自国のECサイトで自国の言語で商品購入手続きする事ができますので、単純に輸出入手続きなどの手間だけを考えますと、売り手と買い手、双方にメリットが多いと言えます。


2. 日本から出してはいけない成分はNG。自国での使用は個人の責任。

一方、化粧品を「正規輸出」にて海外展開を検討する際、まず考えなくてはならない事は、各国それぞれの「薬事法に基づく輸入・販売許可申請」についてです。輸出しようとする化粧品は当然に現地の化粧品成分規制に適合したものである必要があります。

また、販売を予定している海外現地の化粧品販売許可関係以外にも、そもそも日本から海外へ化粧品製品を輸出する際、中身の成分により日本の行政から輸出に規制がかかる物もでてきます。

代表例としては、アロエ、キャンデリラロウなどですが、これらはワシントン条約で制定されている成分を含む商品の為、輸出の際は経済産業省の「輸出許可」を得る必要があります。もし、この許可申請無しで商品を国外へ出そうとした場合は、輸出差し止め措置になってしまいますので、商品詳細に対して注意が必要です。

※例:キダチアロエ含有の化粧品を輸出する場合には、経済産業大臣の輸出承認を申請し、ワシントン条約に基づくCITES許可書を取得する必要があります。

ワシントン条約による規制や違反事例はこちらを参照

越境ECサイトなどで、既に海外市場での販売を経験されたことのある企業様は、このような煩雑な手続きなどが不要である事はご存知かと思います。越境ECを使った販売方式の場合は購入者の「個人輸入品」と見なされております。(仮にこの場合でも、とても個人使用と思われないような数量の注文ですと、各国の行政機関から輸入NGになることがあります)

個人輸入の場合は、ユーザー様が海外から勝手に購入した商品で何か肌にトラブルなどが起こっても行政は責任を一切負わない=自己責任でという前提になります。こういった事から、日本の化粧品に興味があっても、なかなか購入に踏み切れないユーザー様の層が海外市場にはかなり潜在的に存在していることが予想されます。


3. 現地での販売会社が現地の規制に則って販売するのが輸出販売。

日本に化粧品を輸入する際、「化粧品製造業許可」「化粧品製造販売届」や「外国届」といった各種申請手続が必要であるのと同様、海外それぞれの地域においても、各国の化粧品販売に係る許可や登録、届出などの手続きが存在します。

日本側からすると化粧品を「輸出」する事になりますが、輸出相手国の立場に立って考えれば、化粧品を国内に「輸入」するわけですから、一定の規制をかけることでその安全性を確保し、自国民の健康や自国経済を守るのは至極当然のことです。

まして、化粧品は直接肌に対して使用するものですから、その品質や配合成分による人体の健康に対する影響はダイレクトです。したがって、日本と同等、現地では現地の法の規制に従って輸出販売展開を考える必要があります。


4. 販売申請は現地で販売する人や会社が取得する必要あり。

日本国内で化粧品販売に携わられる皆様でございましたらおわかりかと存じますが、海外市場へ正規輸出販売をする際は、輸出相手国の現地の販売協力者に現地の法令に添った化粧品製造販売業許可を新たに取得してもらう必要があります。

また、この手続き自体も非常に煩雑な為、最も時間と手間を割愛する方法としましては、既に化粧品の販売許可関係のライセンスを所持している企業、または個人へ販売を委託する事が最短の方法と言えるでしょう。